しげあんちゃん〜六十年の沈黙を乗り越えた男性と家族の軌跡◎鉱脈社

本文「はじめに」より そのような中で、六十年間もしゃべらなかった男性とその母親に出会いました。二人を支える家族も含めて十九年間お付き合いすることになりました。 その過程で、医療とは、地域医療のあり方とは、生きるとは、老いとは、家族とは、人生の終わり方とは……多くのことを考えさせられました。 たぶんこれまでにどこでもあったと思われる様々な親子の実話が、ほとんど表に出ないまま埋もれていったと思われます。本書はそうした埋もれさせてはいけない話の一例です。 地域を支えている医療、介護の関係者、老老介護中の方、育児中の方が本書に触れていただくことで、様々な問題を抱え、親の下に生まれ、超高齢化の時代を生きる私たちはどのように生きていけばよいのかを考える一つの参考になれば幸いです。 【目次】 はじめに 第一章　六十三歳からの新しい人生 「本当に聞こゆっとですか！」しげあんちゃんとの出会い この子が死ぬまで生きとかんにゃいかん！ しげあんちゃんがしゃべった！新しい人生の始まり ウォークマンに三面鏡、試行錯誤の発声練習 人生初の補聴器、家族の声が聞こえた！ 第二章　初めての「お、か、あ、さ、ん」 スケッチブックを手に、「や〜ま」「か〜わ」 花火が「ぶば〜ん」自分の思いを自分で表現 「お〜か〜あ〜さ〜ん」ついに五十音の発音が完成！ 血だらけのしげあんちゃん　外出は危険と隣り合わせ うどん、パチンコ、デイサービス　新しい人々とのふれあい 第三章　家族の絆 百歳祝いの裏で始まっていた老老介護 ゆっくりと、確実に訪れる老い　家族の大きな柱を失った日 百四歳、母スナヲさん逝く　言葉にならなかった「おかあさん」 しげあんちゃん、八十二歳と七ヵ月の人生 茂雄さんとスナヲさんの六十年〜あとがきにかえて 著者／日高四郎 四六判／並製／92ページ 私たちが心をこめて作っています。 　 鉱脈社は1972年に誕生し、2022年に50周年を迎える、宮崎に根ざした出版社です。 「月刊情報タウンみやざき」や「宮崎を楽しむ大人の情報誌 jupia」などの情報誌のほか、単行本やシリーズ書籍の出版、自費出版のお手伝いを手がけています。 雑誌分野ではスタッフ一丸となって足で情報をかせぎ、書籍出版分野では著者様と力を合わせて納得のいく本づくりを心がけています。 私たちが愛情込めて作った本を、ぜひ手に取ってみてください。