彩花へ――「生きる力」をありがとう (河出文庫 や 13-1)

被害者の彩花ちゃんと、同い年です。 事件当時、言葉に出来ないほどの不安とショックを受け、彩花ちゃんに起こったこと、そして少年Ａの内に起こっていたことが何だったのか、同じ子供として、命として、知らなければと思いました。 中学生の頃この本を読み、彩花ちゃんの母親、京子さんの深い深い愛情に打ちのめされました。 中でも、『最後にＡ君へ』という文章に衝撃を受けました。 『もしも私があなたの母親だったなら、真っ先にあなたを抱きしめたい。氷ってしまった心が溶けるまで、共に苦しみ、共に闘おう。あなたは私の大切な息子なのだから。』 そこには、そう綴られていました。 言葉にならない感動と衝撃に、涙が止まりませんでした。 どんなに悲しく、どんなに苦しみ、恨み、藻掻かれたことでしょう…。だけど、京子さんはそこに留まることなく、彩花ちゃんの生を、そして死を、その意味を、無駄にしない為にご自身を越えていかれました。 彩花ちゃんが命懸けで我々に示してくれたことを、私たちは現代を生きる者として真摯に受け取り、社会の問題を自分事として捉え、人間の持つ美しさや尊さを揺るぎなく信じ、この世界でそれを実現していけるのだと、感じました。

配送が早くてよかったです。