岸辺露伴は戯れない 短編小説集／北國ばらっど／吉上亮／宮本深礼

2019年の夏、続けて『岸辺露伴は叫ばない』『岸辺露伴は戯れない』の世界に触れました。昨年の段階で、発売されていた事は知っていましたが、ある種の不安から手にとる事ができずにいました。小説家の方が個性的であるほど、オリジナルの岸辺露伴像から離れてしまうのではないか？だったら、わざわざ読む必要はないのではないか？と考えていたからです。 結論からいうと、「岸辺露伴が在る」は保たれ、そこに「新しい解釈」が加わった作品集・・・という感じでした。もっと早く読んでいれば良かった。〈プロ〉でした。 ここ10〜20年のエンターテイメントの世界は、囲い込み的な〈読ませるため〉が主流になっている気がします。〈読んでもらうため〉を貫くのは、以前よりも難しくなってきているように見えます。その状況下でも、この〈プロ〉が実現できる事に感情を動かされました。