こころ／夏目漱石

明治に入り脱亜入欧とばかり今までの日本の封建制に基づいた価値観や制度や共同体意識がものすごい勢いで解体され、西洋思想や制度などが入ってきて、日本に大きな変容が起こった。特に、西洋的個人主義や自由主義が入ってきて、今では普通だが、当時としては非常に大きな影響を当時の知識人に与え、翻弄され、個人エゴイズムとの葛藤が大きかった。これは今も大きな問題であり、それを、一人のお嬢をめぐって同じ下宿に住むことになった同学年の学生が、ともに好きになり、友からその悩みを打ち明けられた本人は、焦って先手を打つ形でその娘の母親に「娘さんをください」と告げ、「ようござんす」と返事をもらった。しかし、そのことを自分から友達には言わなかった。結局母親から話が伝えられた。全くのエゴによる裏切り行為であった。そして、友達は何も言わず自殺した。本人はそれから自分の心の裏切りに悩み続け、その娘であった妻には最後まで言わず、20年後に自殺する。それをある自分を「先生」と慕う、青年書生に長い手紙で伝える形式をとって、彼にだけ告発して自殺するという「真面目」に行き、悩む姿を描いて見せてくれている。

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