マルセル・デュシャン　Boite-en-valise　(Box in a Valise)　デュシャンのスーツケース　ミニチュア作品

「私がこれまでしてきた重要な事柄は、すべてこの小さなスーツケースに入れることができる。」―マルセル・デュシャン(1952年)―

1935年から41年にかけて作られた、美術史の中で最も重要で謎めいた作品の１つである、マルセル・デュシャンの「Boite-en-valise」。

その後の戦争を予感していたのか、デュシャンは自身の芸術作品を簡単に持ち運べるサイズにし、“ミニチュアミュージアム”としてスーツケースの中に収めました。当時限定で作成されたものの多くは、現在、美術館や個人コレクションに収蔵されています。

本書は、その伝説のスーツケースを再解釈し、よりたくさんの人々の元に渡るように作られた一作。
中にはデュシャンの有名な作品「泉」・「大ガラス」・「階段を降りる裸体」など、69点もの複製が収められています。デュシャンが作成したオリジナルのサイズ同じく、内容は紙で再現しています。

美術館や博物館の思惑にとらわれず、その外に作品を展示したいというデュシャンの願望が反映された、遊び心のある作品です。