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アラビアのムーミンフィギュア 1990年代の人気作をもう一度 アラビアからムーミンのフィギュアが発売されるというのは、そんなよくあることでもなくて、これまで大きく三回だと言われていました。一回目は1950年代、トーベ・ヤンソンの母親であるシグネ・ハンマルステン・ヤンソンがデザインした高さ3〜5cm程度の小振りで素朴なフィギュア。種類はムーミントロール、スノークメイデン(フローレン、スノークのおじょうさん)、ムーミンパパ、ムーミンママ、トゥーティッキ(おしゃまさん)、スナフキン、リトルミイ(ちびのミイ)、ミムラねえさん、ミーサ。2005年出版のアラビアムーミンプロダクツを紹介する本『Moomins at Arabia』にも、そう書かれています。ところが、実はこれ、シグネ×アラビアのものではない!?という情報が浮上しました。陶芸家のレオ・ティッキライネン(トュックライネンという表記もあり)という人物がトーベ・ヤンソンの許諾を得て制作し、1956〜1963年までフィンランドのストックマンデパートだけで販売されていたもの、という記事が出たのです。最新の調査では、シグネのデザインに沿って、レオが制作したもの、スウェーデンのボ・ファヤンスという工房で作られたもの、さらにフィンランドのアラビアで作られたものも存在することがわかりました。ムーミンママのエプロンの色がいろいろだったり、大きさや表情が違ったりしたのも、複数の場所で作られていたと思うと納得です。素材が脆いのか、完品が少なく、更に値段も高くて手が出しづらい、幻のような存在だったフィギュア。たとえアラビアで作られた個体でなかったとしても、その魅力が減ずるわけではありませんから、お持ちの方はこれからも大切にしてください。 そして二回目が1990〜1997年、トーベ・ヤンソンのパートナー、トゥーリッキ・ピエティラが原型を手がけたフィギュア。種類はムーミン、パパ、ママ、スノークメイデン、トゥーティッキ、リトルミイがありました。サイズは大体10〜20cmとそれなりに大きく、発売当時の日本での販売価格はムーミン6,500円、パパとママが10,000円とかなり高額でした。また、1992〜1996年にはそのフィギュアを小さくリサイズした6〜7cm前後のミニフィギュアも作られています。同じ時期、1993〜1994年にはムーミンハウス型の陶器の貯金箱も発売されていました。 三回目のムーミンフィギュアは2010年、ほとんどすべてのアラビアムーミン製品のデザインを担当してきたトーベ・スロッテによるもの。スコープでも取り扱いしましたが、早くも2012年には廃番となってしまいました。ミイのみ寝そべっているので高さ5.8cmと低いのですが、パパが17.3cm、ママが14.5cm、ムーミンが13.8cm、フローレン(=スノークメイデン)が11.5cmと、二回目の大きい方のフィギュアとサイズ感は似ています。ムーミンがペンキと刷毛を持っていたり、ママが編み物をしていたり、ミイは落書きをしていたり、ストーリー性を感じさせる動きのあるポーズと生き生きとした表情が持ち味でした。 アラビアのムーミンフィギュア 1990年代の人気作をもう一度 2017年、久しぶりに発売されたアラビアのムーミンフィギュアは、新しい第四弾!ではなく、1990〜1997年のムーミンとスノークメイデンがベース、つまり1992〜1996年に生産されていたミニフィギュアの復刻のようなものでした。ひとつ前の三回目はアニメやコミックスを連想するポップなかわいさでしたが、原作小説を思わせるちょっとさみしげで大人っぽい佇まいに戻りました。 そして2018年、ムーミンパパとムーミンママが仲間入り! これも前年のムーミンとスノークメイデン同様、1992〜1996年のミニフィギュア復刻パターンですから、バッチリ組み合わせて飾れます。 さらに2019年、トゥーティッキ(おしゃまさん)とリトルミイ(ちびのミイ)が追加されました。これにて1992〜1996年版の復刻は完了、全員集合です!なんといってもリトルミイは人気キャラクターですし、トゥーティッキは原作でもそれほど出番は多くないサブキャラではありますが、デザインを担当したトゥーリッキ自身がモデルとなったキャラクターだけあって出色の出来。ムーミンたちだけだとちょっとさみしげ佇まいなのですが、トゥーティッキが加わると全体の存在感がぐっとアップして、他のキャラクターの魅力がさらに際立つように感じます。新旧を並べて比べてみると、マットだった質感が、ツヤッと光沢感があるものに変わりました。ムーミンとスノークメイデンは、古いほうは目などの線がグレー、しっぽの先と髪の毛とアンクレットが黄色く塗られているのに対して、新しいほうの目は茶色、ムーミンのしっぽの先は白いままと、ほんの少しですが違いがあります。パパとママは新しいものも目がグレーなので、よりヴィンテージに近い趣。リトルミイとトゥーティッキは色みやデザインにはまったく変更がありませんが、着色部分が多いので、質感の違いによって少し異なる印象を受けるかもしれません。個体差もあると思うのですが、復刻のほうがミイの赤毛や緑の目、トゥーティッキの青い目がくっきりしているので、表情がより生き生きとして見えます。また、現行品は、そのまま飾っておきたくなるようなかわいらしいパッケージに入っているのもちょっとうれしいポイントです。 リトルミイとトゥーティッキは発売当初、2019年限定生産の予定でしたが、継続されることに。今のところ、生産期限の情報は入ってきていませんが、廃番後に買おうと思うとなかなか大変なのがアラビアのムーミンなるアイテム。生産終了するとあっという間に市場から消え、なんだか急に欲しくなる。が、ヴィンテージ価格はかなりキツイ。現行版の価格もそれなりにしますが、とにかく油断せず、どうぞ。ちょっとした隙間やテーブルの片隅に飾りやすい小さめサイズ、ちょこんと置くだけでサマになってすごくすごーくかわいいですよ! text : 萩原まみ(ライター) スペック 材質 磁器 寸法 ムーミン : 約W30×D35×H55mm / 30g スノークメイデン : 約W30×D35×H55mm / 30g ムーミンパパ : 約W40×D50×H80mm / 60g ムーミンママ : 約W40×D50×H70mm / 50g リトルミイ : 約W25×D25×H60mm / 20g トゥーティッキ : 約W45×D30×H80mm / 50g 生産 Made in Thailand 購入前に確認ください ・ 陶磁器製品に共通して見られますが、小さな黒点やピンホール、多少のがたつきはどれにもあり、良品としています。

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